物質をナノメートルサイズまで小さくすると、量子効果が顕著に現れます。特に、カーボンナノチューブや原子層半導体といった、原子数個分の厚さしかない極限的なナノ物質では、その影響は一層際立ちます。例えば、典型的な半導体では室温以下でしか観測されない「励起子」と呼ばれる量子状態が、2,000 K 以上に加熱された単一のナノチューブで観測され(Nishihara et al., Nature Commun. 2018)、高温におけるナノ物質の光学特性、すなわち「熱光物性」が注目を集めています。この「熱光物性」の解明は基礎科学として興味深いだけでなく、高温発光制御といった高温フォトニクス(Nishihara et al., Nanophotonics 2022)などの工学分野への応用にも繋がると期待されています。当研究室では、単一ナノ物質やその集合体における熱光物性の解明と、それを応用した機能開拓を両輪として研究を進めています。
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